ミノルタX-600
ミノルタがオートフォーカス市場に参入したのは、他よりも少し遅れており、1983年のことでした。
このカメラの特徴は、同時期に登場したX-500に、フォーカスエイドを組み込んだモデルと言えます。
外観的には、大き目のグリップが装備されているのが目に付きますが、やはりフォーカスエイドに電源が必要ということで、この部分に単四電池が2本収めてあります。
そして、このグリップの影響もあってか、X3桁シリーズでは共通であったモータードライブも使用出来ず、ワインダーによる秒2コマの巻上げのみになります。
この第一世代のAF機では、オリンパスOM30を除き、皆ワインダーのみ…という仕様が多かったのですが、やはりモータードライブに連動させるだけの能力が無かったというのも、事実なのでしょう。
さて、このカメラですが、X-500の兄弟機…と言いたいところなのですが、軍幹部の右肩、シャッターダイヤル周辺の処理が、明らかに異なります。
何故兄弟機ながら、この様な処理に差を付けたのか、興味深いところでもありますが、恐らく此方では、凹凸を可能な限り減らし、先進的な雰囲気を演出したかったのではないでしょうか?
反面、電源スイッチが巻き戻しクランクの横に設置され、露出補正ダイヤルが省略されているのは、X-500と同様でした。
ミノルタは、後にX-300(X-370)という普及モデルを発売しますが、私に言わせれば、コレこそがX-600からフォーカスエイドを取り除いたモデルであり、この特徴的な軍幹部が継承されています。
反面、X-300では、モータードライブの使用が可能になっていたりしますが、フラッシュのTTLダイレクト調光は取り外されています。
Xー600自体、まさに幻のカメラと言える位に生産台数が少なかったので、恐らく、廃物利用であったのかも知れません。
この当時ミノルタでは、オートフォーカスレンズの設定は無く、高価格という事も、不振の原因であったと思いますが、わずか2年後に、そのミノルタが天地をひっくり返す様なモデルを発売するとは、この時、いったい誰が予想したでしょうか?