オリンパスOM-D E-M5マーク3の再レビュー
2019年12月、発売1月後に購入したオリンパスOM-D E-Mマーク3ですが、使用し始めて30000枚上の撮影を行い、当初は見えてこなかった様々な事を体験したので、改めてレビューを書くことにしました。
2020年10月17日付けで10万ショット達成後の加筆もアチコチにあるので、併せて御覧ください。
尚、ネットで大きい顔をしているレビューの大部分が、「少し試用してみた」「店頭でイジってみた」「購入して、取り敢えずのレビュー」程度であるのに対して、コチラは実費で購入した上で100,000ショット以上撮影した上でのレビューです。
尚、このレビューは他と違い、オーナーによるラブラブの大甘記事でも、メーカーに対する一切の忖度の無い、正直に起こった事を書いています。
目次
オリンパスE-M5マーク3の概要
価格(2020年5月16日現在)
画質
操作性
バッテリー
AFは欠陥レベル!
– 追記: パナソニックGX1とのAF比較!!
– 追記: 全面AF(オールターゲット)は脅威の合焦率ゼロ!
手ブレ補正について
フラッシュについて
露出制御について
電子ビューファインダー、モニター関連
最後に
オリンパスE-M5マーク3の概要
オリンパスE-M5が登場したのは2012年、それまで、どちらかと言うと初心者向けと見られていたマイクロフォーサーズに於いて、防塵防滴構造、電子ビューファインダーの搭載を始めとした本格的な機能を搭載し、その印象を一変させたゲームチェンジャーと言える存在でした。
翌2013年には、フラッグシップ機のE-M1が登場し、以降中堅機種として支持されながら2015年に先代のマーク2、そして2019年11月、実に4年ぶりの新型としてE-M5マーク3が登場しました。
E-M1Xが登場したこともあり、上級機はE-M1系、そしてE-M5マーク3は、E-M1マーク2の機能の多くを継承しながら、E-M5マーク2に比べてスペックダウンした面も見られることからも、どちらかと言うと、入門機のE-M10系の顧客にターゲットを定めたと言えるでしょう。
<外観>
デザイン自体、かつてのOMシリーズを手本にしたもので、コレは即ち、現在のデザイナーの敗北宣言に他ありません。
デザインは兎も角、当機の問題は、プラスチックの外装を採用したことにあります。
店頭で隣に並ぶ入門機のE-M10マーク3や、旧型のE-M5マーク2、それどころかPL10と比べても明らかに安っぽいのは、それだけで商品として不利です。
3年前に同じくプラスチック外装を採用したE-M10マーク3よりも安っぽく感じるというのは、どんな理由が有っても、やはり拙いのではないでしょうか?
私も初めて店頭でキットズーム付きを手に取った時、余りの軽々しさに、モックかと思った位です。
当然他社の同価格帯の製品と比べても安っぽいのは、手に取れば誰でも判ることです。
仮に性能が素晴らしくても、カッコ悪い車が売れないのと同じで、コレは苦しいですね。
尚、私自身は、寒冷地に住んでいる関係で、プラスチックの方が手に優しいというメリットもあるので、質感の面は妥協しています。
<ホールド感>
手に取ると、カポカポのプラ感全開…まあコレは兎も角、グリップの形状が良くなり、パナライカ12-60mmの様な少し大き目のレンズを使用する時も、ボディ単体でバランス良くなりました。
E-M10マーク2では、同レンズ使用時、外付けグリップECG-3が無いとバランスが悪かったので。
ただ、現時点の私には十分なのですが、より大きなレンズを使う人の為に、もう少し大き目のグリップは有った方が良いでしょうね!
現在は純正のECG-5が用意されていますが、実売価格1.5万円と結構高価な上に、取り外さないとバッテリー交換が出来ない等、正直余り良いとは思えません。
E-M5マーク2に有ったバッテリーグリップが無いのも、人によっては購入意欲を削ぐ結果になります。
せめて、E-M10マーク2のECG-3の様なシンプルなグリップが有ると有り難いですね!
2020年10月17日加筆
親指グリップのラバーが既に剥がれかけています。一年も経たずに…んですよ?
こんな事もマトモに出来ない会社が、目に見えない部分を真剣に作り込んでいるとは、とても思えませんね…。
<携帯性>
E-M10マーク2と同等で、E-M5マーク2より60グラム程軽くなっています。
60グラム位…と思うかも知れませんが、結構差があるものです。
以前使用していたパナソニック12−35mmF2.8と、現在使用しているパナライカ12−60mmf2.8-4の重量差が僅か15グラムですが、この程度でも結構違うものですから!
更にE-M10マーク2では、外付けグリップECG-3を常用していたことを考えると、寧ろ小型軽量化されたと言えます。
携帯性の序ですけど、ストラップのオリンパスのロゴにもうヒビが入って、剥がれ始めています。こういう所って品質疑われますよ!
2020年10月17日加筆
前回のレビューから5ヶ月後、購入から10ヶ月で既にストラップのロゴは完全に擦り切れました。
加水分解した様な感じで、垢が落ちる様にボロボロと剥がれ落ちました。
今まで40年カメラを使っていて、こんな酷いのは初めてです!
たかが付属のストラップ位…と言われそうですが、こういう所こそ品質を疑われますよ!
そして、こんな酷いモノを市場に出すメーカーの見識を疑います。
価格
2020年5月16日現在、価格・コムの最安値がボディのみで127,666円となっています。
コレは12月に私が購入した当時と殆ど同じなのですが、私の時は1万円のキャッシュバックと、10%のポイントが付いたので、実質遥かに安く購入出来ました。
更に拙いのが、上級機のE-M1マーク2が107,777と、当機よりも2万円も安く販売されていることです。
この手の機種を買う人は、機能を求める人が多いので、流石にコレは拙いですね…。
まだE-M1マーク2の在庫も相当有る様なので、対E-M1マーク2の苦しい戦いは、当分続くモノと思います。
2020年10月17日加筆
現在、ボディのみで95,800円まで下落しましたが、相変わらずE-M1マーク2が89,241円と安いこともあり、相変わらず苦戦を強いられています。
そしてE-M1マーク2の在庫が底をつく頃には、コチラも更に下落し、結局何時もの様に売れるのはモデル末期になってから…コレでは利益が出る訳がありません。
画質
E-M10mk2よりもシャドーが粘る様になった反面、ハイライトが飛びやすくなりました。
高感度の描写は向上しています。
あとは、同じ時にE-M10マーク2と併用すると、明らかにコチラの方が色調が薄いというか、地味な色ですね。
後述する「ピントが合わない」こと、そして「微ブレ」の問題で、トータルでE-M10マーク2に比べて悪化したとさせて頂きます。
2020年10月17日加筆
作例は、間違えてISO25,600で撮影してしまったモノです。
レンズはパナソニック35−100mmの100mm側を使用していますが、思ったよりも解像している様に見えます。
ただ、コレを見てISO25,600でも大丈夫!というのは早合点です。
先ずはこの状況では、本来ISO25,600にする必要のない、十分な光量があったこと、そして被写体との距離が1.5m位と非常に近かったこと、この条件のお陰で、この描写になっているのです。
例えば暗くて本当にISO25,600が必要で、被写体との距離がもっと離れていた場合、同じ様な描写は望めません。
そして、その様な状況では、まだまだと言わざるを得ません。
欧米でマイクロフォーサーズが不評なのは、高緯度のせいで高感度の使用頻度が高いからだと私の体験上、実感しています。
操作性
左側メインスイッチの疑問
あの使い難い位置のメインスイッチに拘る理由は何でしょうか?
OM-1をモチーフに? メカシャッターとミラーレスではスイッチの使用頻度からして全く違います!
いいですか? カメラの左上面というのは、一番指の届かない場所なんですから!
右側カスタムレバー(上図の青いカギのマークの奴)が有り、コレを右側メインスイッチとして使うことが出来ますが、これは要するに、左側は使い難いと認識している訳ですよね?
仮に絶対的に左の方が良いと思うのなら、最低限もう少し使いやすい形状が有りそうなモノですけど。せめて横向きじゃなくて、ユーザーの方を向いているのならまだしも…。
E-M10マーク2では、カスタムスイッチが無いので、左スイッチを使わざるを得なかったのですが、最後までアレは嫌でした!
起動が凄まじく遅い!
今どき、こんなに起動に時間がかかるカメラが有るんですね…。
起動時にセンサークリーニングを行っているからなのですが、このセンサークリーニング、オンで行うか、オフで行うかを選べる様にした方が良いのではないでしょうか?
結構気になりますね、コレ。
補助光照射窓の位置はおかしい!
左前にある補助光照射窓は、気を付けないと縦位置時に手で隠れてしまう。コレこそ右前の方が良いのでは?
例えば右前のOM-DのロゴのOの真ん中なんかが良いと思いますけど。昔、エレクトロニックフラッシュT32で似たような事やってましたよね?
コレを隠さない様に、望遠を縦位置で手持ちで使うのは極めて困難です。
左側上面のカスタムボタンは誤作動の元!
左肩の2つあるカスタマイズボタンは、縦位置時に補助光照射窓を隠さない様にホールディングすると、誤作動しやすいですね。もう少し固い方が良いかと思います。
難解なメニュー
メニューも難解な言葉が多い上に階層も深くて、オリンパス歴5年で慣れてきたとは言え、やはり使い難いです。
2020年10月17日加筆
AFモードの切替がワンタッチで出来ない。
タッチシャッターを使う時は、シングルモードでないと、凄まじいタイムラグが発生します。同時にC-AFを使いたい時も…コレは被写体によってマチマチなので、ワンタッチで切り替えられないと話になりません。
カスタムレバーをAFモードに割り当てることが可能ですが、そうなると、何故か同軸上のAE/AFボタンにMF切り替えを割り当てることが出来ません。
更に使い難くて仕方ない左メインスイッチを使わざるを得ない…。
カスタムレバーをメインスイッチに使う場合、左メインスイッチは完全に遊んでいます。コレをカスタムレバーに使うなり、考えた方が良いでしょう。
<三脚使用時>
– E-M10マーク2では、三脚の雲台とレンズが接触!
– E-M5マーク3では、ボディ底が厚いので接触しません!
三脚穴は、ボディ中央でなく、前寄りに有ります。コレは手ぶれ補正ユニットを組み込んだ上でコンパクト化する以上、仕方ない面はあるのですが…。
写真上はE-M10マーク2+パナソニック12-35mmf2.8ですが、ご覧の様に三脚雲台がレンズに干渉しています。
外付けグリップECG-3が無いと、この様に少し大き目のレンズが雲台に干渉するという問題がありましたが、E-M5マーク3では、ボディの底が厚くなったことで、ソレが解消されています。
パナソニック35-100mmF2.8でも問題ないことを確認しています。
意外とこういう細かいけれど重要な所をネットで見かける様々なレビューで指摘する人が居ないのも、不思議なモノですよね…!
要するに、それだけ使い込んでレビューを書いていない…という事なのでは?
バッテリー
当機のバッテリーは、従来のE-M5系のBLN-1ではなく、E-M10系のバッテリーBLS-50を採用することで、よりコンパクト化されたものの、容量が低下していることを不安視する意見が見られます。
BLN-1の1220mAhから、BLS-50の1210mAhへと若干容量が減っていますが…。
私の使用の結果、バッテリーは長持ちします。
今の所、コンスタントに1000枚は撮影出来ていますし、1500枚程撮影出来たこともあります。
同バッテリーのE-M10mk2が最高320枚程度だったのに比べると、持ちは非常に良いと言えます。
バッテリーインジケーターが正確になったことから、以前より目盛りの減りが早く見えるのですが、実際には寧ろ長持ちする様になっています。
言ってみれば、従来のインジケーターがWindowsのソレと似ていて、フルの時間が長く、ある程度減ると急にガクンと空になっていたのが、今回、Macのインジケーター(残量1%まで正確に使える)になった…といった感じです。
意外とこの事が他のレビューで全く指摘されていないのは、ある意味不思議ですね…。
要するにバッテリーを1つ完全に使い切る様な撮影すらしていないのでは?
因みに、赤の点滅になってからでも、夜間、スローシャッターと補助光を使いながら60枚程撮影出来ました。まだもう少し撮影出来そうでしたけど、早目に交換しましたが…。
まあ、バッテリーの持ちに関しては、例えば一日で5〜600枚というペースの時と、半日で1500枚というペースの時でも持ちは違ってきますが、何れにしても、このクラスとしては、バッテリーの持ちは非常に良いと言えます。
現在手元にバッテリーが5個(1つはキャンペーンで貰ったモノ) 有りますが、1日で3個使ったことは無く、最高1日で2000枚でも、2個目のバッテリーは残量半分でした。
ただ…このバッテリーが逆向きでも入ってしまうの、いい加減何とかしましょうよ!
こういう所からして、技術者の知的水準疑われますよ?
USB充電が可能になりましたが、専用の充電器も付いてくるのは良いですね。
ただ…初代E-M10の頃から同じのバッテリーチャージャー、そろそろモデルチェンジして欲しいですね!
AFは欠陥レベル!
AFは動物にはピントが合いません。動いている動物が難しいのは当然としても、止まっている動物ですらピントのスッポ抜けが非常に多いのは、何とかして欲しいですね!
例えばコレですけど、このカナダ雁が最も苦手とする被写体の様です。目にピントを合わせようとしたら、軒並み背景にピントが合ってしまうのです!
設定は、シングルターゲットで、撮影毎に毎回ピント合わせを行っても、10枚撮影して1枚ピントが合っているかどうか…という有様です。
殆ど動かない被写体ですし、毎コマピント合わせを行ってもコレです。
因みにこの2枚、パナライカ12−60mmを12mm側で撮っています。
– 標準の測距枠…コレでは大き過ぎる様で、スッポ抜けて背景にピントが合います。
– スモールターゲット…小さい測距枠です。
色々試した結果、スモールターゲットを使い、AFターゲットを目ではなく、白黒の場所に当ててやれば、何とかなることが判明しましたが…AF測距枠が少しでも顔よりも大きいと、黒い顔を無視して、よりピントの合わせ易い?背景に引っ張られてしまう様です。
ただ、このスモールターゲットって、隣同士に隙間があるので、出来たら使いたく無いんですよね…。
シングルでもダメなのに、全面なんてのはもっとダメなのは言うまでもありません。全面AFにしてカナダ雁を狙ったら、顔ではなく、胴体にピントが行きます。
こういう構図で、主要被写体を無視して背景に合わせてしまう制御って、一体何なのでしょう?
コレに関しては、50枚程撮影して、ピントが合ったのは、僅か7枚という無様な結果でした。動態なら兎も角、こんな動かない被写体で、セッティングもシングルで、毎回測距しているにも関わらず…です。
毎回測距しながら50枚も撮影する時間がある位に動かない被写体です!
カナダ雁の赤ちゃん…当然AF測距枠は、手前に合っているのですが…。
大きな測距枠でも十分にカバーできる筈なのに何故???
カナダ雁は、私にとって大変に身近な被写体で、何もコレが初めてではありませんし、今まで所有した色々なカメラで撮影してきて、こんなにピントが合わないのは初めてでした!
AFの制御に問題が有るモノと思えます。
被写体から一度ピントを外すと、その被写体は無視する!
S-AFである被写体を撮影していると、何故か急にピントを外して完全に測距不能に陥ることがあります。
そうやって一度測距不能に陥ると、同一の被写体に関しては完全に無視する様になっている様です。
その測距不能=完ボケになった状態でAFロックが掛かってしまう様で、そうなると、何回レリーズボタンを半押し直してもピントは合いません。
この被写体を撮影した時も、S-AFで数枚撮影した後、急にピントが外れて、何回レリーズ半押ししてもダメで、結局一度電源を落として再起動した所、ピントが合いました。
この件に限らず、一度ピントを外した所で測距不能、再測距不能というのは結構頻繁に起こります。
コレは間違いなくAFロックのバグでしょう。
2020年10月17日加筆
被写体から一度ピントを外すと、その位置で記憶してしまい、何回再測距してもピンぼけのままです。
作例は、ネット越しに熊を狙ったものですが、モニターの画像が示す通り、ネットの網目を狙っています。
最初の数枚はソレで熊にピントが合ったももの、一度こうやって手前のネットにピントが合ってしまうと、以降何回レリーズボタンの半押しをし直しても、電源を落として再起動しても、バッテリーを取り外して再起動しても、ネットにしかピントが合いませんでした。
AFターゲットもスモールターゲットにしてコレです…コレは余りに酷いんじゃないですか?
コレはどう考えても欠陥以外の何物でもありません。
まあ、あまり失敗例ばかり挙げていると、私が下手だと思われてしまいそうなので、この様な駄目なカメラを使っても、この程度は撮る能力がある…という事は言っておきましょう。
因みにコレ、動物園では無く、一瞬たりとも動きを止めない野鳥ですから! 猫カフェなんていう低レベルの話ではありませんから!
レンズはパナソニック45-150mmf4-5.6を使用しています。
<タッチシャッターも使い物にならない!>
– タッチシャッターで、ご覧のように被写体の目をタッチしたら…
タッチシャッターとは、モニター上の画像のピントを合わせたい所をタッチすると、ピントが合ってシャッターが切れるという機能ですが、カナダ雁を撮影した所、コレも通常の撮影と同様にピントを外します。
あと、タッチシャッターでは、前述のスモールターゲットが使用できないのも拙いですね!
合焦サインが出ても、全然ピントが合っていないことが結構ありますが、後でピント位置を確認しても、タッチした位置とズレていることが殆どです。
動態…車なんかは問題ないのですが、動物だと、少しでも動いていると、場合によってはピント合わせを全く無視してシャッターだけ切れたりします。
メニューでレリーズ優先からフォーカス優先に切り替えても駄目でした!
特にAFモードがC-AFになっていると、極端にタイムラグが長くなります。
もう一つ何時も頭に来るのが、タッチシャッターを使っている時に誤ってタッチシャッター自体をOFFにしてしまう事がある…という事です。
こういう切り替えは、例えば数秒タッチしたら切り替わるとか、何かワンクッション入れないと、誤作動の原因になります。
この程度の事しか出来ないのなら、寧ろ付けない方が良いと思います。出来もしない事を宣伝した所で、恥かくだけですよ!
追記: パナソニックGX1とのAF比較!!
既に述べた通り、私のE-M5マーク3は凄まじくレベルが低く、とても実用に耐えるレベルではないので、試しに2011年に発売されたパナソニックGX1を、実に5年ぶりに引っ張り出してみました。
タッチシャッターは押し込まないと駄目、バッファの容量が決定的に不足している、手ブレ補正が弱い、モニターが固定式…といった古さを隠せない面はあるものの、AFに関しては、はっきり言ってコチラの方が信頼できました!!!
例えばコレ…このショットの難しさは、やったこと無い人には分かりません。この動作を何時始めるかは全く見当付かない上に、ほんの一瞬しかやらないので、始めた瞬間にカメラを向けてピントを合わせてシャッターを切る必要があるのです。
GX1ですら一発で決まりました。E-M5マーク3では失敗の連発です!
こういう足早に道を渡るシーンは、E-M5マーク3では、ほぼ100%ピンぼけなのに対して、かなり追従性は上です。
E-M5マーク3では、ほぼ全数ピンボケのこのショットだって大丈夫!
問題のコイツだって、何も考えずに撮って問題なし!
当然、手前に草に合ってしまった…なんて奴も有りますけど…。
<結論>
私がオリンパスE-M10を買ったのが2015年、その当時のマイクロフォーサーズで最も手軽で性能が良かったからだったのですが、同時にAFに関しては、特に暗い所で明らかにGX1よりも劣るというのは感じていました。
その後、今回の様な動物を撮ることが殆ど無く、人間や車といったモノには問題なく対応出来ていたことから、余り気にしていませんでした。
この辺りは、次のE-M10マーク2でも、相変わらず暗い所では同様で、今回ようやく暗い所でのAFがGX1に遜色ないまでになった…と思っていた所、この手の動態に関しては寧ろGX1の方が信頼できると言わざるを得ません。
他の方が「問題ない」と言ったところで、私の機体は問題が有り、故に満足度が低いのは仕方ない事かと思います。
追記:全面AF(オールターゲット)は脅威の合焦率ゼロ!!!
– 当然の如く、凄まじいピンボケです!!! コレで自動だって???
私は、フィルム時代を最後までマニュアル機で通しました。理由は、昔からやっている事、そして過度な自動化を信用しないからです。
コレは今日AFでも同じことで、最低限ピントを合わせる場所位は自分で設定するモノだと思っているので、このオールターゲットAFというものは、使ったことが有りませんでした。
- シングルターゲットが全く信用できない
- タッチシャッターも全くダメ
こうなれば、期待はしないものの、オールターゲットなら、もしかしてカメラが高度なピント制御をしてくれる…なんて諦め半分で試してみました。
結果は案の定…。
コンピューターが制御してコレですか??? 驚きます…ってか、何時もの事ですけど!
手前にある物体よりも、背景のほうが重要だと判断した理由を是非聴きたいところです!
コレで測距不能ですか…ミノルタα7000でも合うと思いますよ!
同じく、手前のモノを無視して、背景の方が大切だと思う根拠を教えて下さい!
一応許容範囲と言えるモノでも、ピントは胴体で、顔には行っていません!
こんなに大きな被写体で、この程度の制御しか出来ない様じゃ、要望の多い「動物瞳認識」なんてのは、夢のまた夢のまた夢ですね!
コレも胴体にピントが合っていて、顔にはピントは行っていません!
少し手前の草にバッチリピントが合っています。
こういう構図は100%ピントを外します!
顔を無視して、胴体の一番太い部分〜脚にピントが合っています。
この構図は、何回やっても同じです。
取り敢えずコレは許容範囲として、このコマの次は…。
コレです!先のコマと比較して何が違うと判断したのでしょうか?
その後は数コマ、全部ピンぼけです。一度外すと、完全に停止するまで測距を諦める傾向にある様です。
皆さん、こういう構図の場合、何処にピントを合わせますか?普通の美的センスのある人は、一番手前の雛ですよね?
面白いことに、2番目にピントが合っています!
こういう判断って、一体何処から来るモノなのでしょうか?
こうやって頻繁に被写体を無視して、背景にピントを合わせてしまう辺りからして、「何かがある…」程度の認識は出来ていても、ソレが動物なのか何なのかまでは認識出来ていない様です。
この辺りからして、例えば動物瞳認識を備えるソニーなんかと比較すると、コンピューターの能力は、相当に劣っていることは容易に想像出来ます。
<結論>
オールターゲットも全く使い物にならない欠陥品でした!
このオールターゲットというものは、元々失敗を少なくする為に、ピントを合わせる位置を自動的に設定するモノですが、この程度の精度で果たして必要だと言えるのでしょうか?
ロクに機能しない中途半端な機能をつけた所で、使い物にならなければ、結局恥かくだけなんですから!
私の友人の5年落ちのEOS-Kissなんか、ただフルオートでシャッター押しただけで7割ピント合います。本機はゼロです!
<追記>
黒い顔の動物がダメ…ということなので、こういうのを再テストしてみました。
一応コレはピントが合っていますが、実はコレにピントを合わせるのにも、何回もピント合わせをやり直した末、ようやく合ったという代物です。
設定は、一番確実なスモールターゲットの一点… コレじゃ設定の間違え様も無いですよね?
コレなんかは、被写体が暫くこの状態だったので、何回もピントを合わせ直すことが出来たのです。
コチラは動き自体は少ないとは言え、上の奴よりも動いていたので、一度しか測距するヒマは無く、当然の如く、背景にピントが行っています。
更には、こんなピントの合わせ方って…普通有り得ないですよね?
コレ… 全面AFで撮ったんですけど、赤丸で囲った手前の雑草に見事にピントが合っています!! カナダ雁の頭が小さ過ぎてピントが合わないかと思ったら、こんな小さいモノにピントが合うんですから…正直、ファインダーでは見えてないんですけど…。
<80年代のOM−707以降、他社とのAFの差は埋まっていない>
オリンパスというメーカーは、86年にOM-707で本格的なAFを始めたものの、その出来は極めて悪く、ソレを最後にレンズ交換式カメラは2003年のオリンパスE-1までご無沙汰していました。
その間、キヤノンやニコンは、プロの使えるAFの開発にしのぎを削っていた訳ですし、やはりこの長年のブランクは、未だに取り返すには至っていないのかも知れません。
暗い所でのAFはスムーズになりましたが、言ってみればようやく、2011年に発売されたパナソニックGX1に追いついたというレベルです。
5年前にGX1からE-M10に買い替えた時、画質を始めとして多くの進化を体験しましたが、AFに関しては、明らかに劣っていましたが、まさその辺りは解消されていない様です。
<瞳認識には過度な期待をしない事!>
瞳認識は、たまに気まぐれに作動する程度なので、無い物と思っておいた方が良いでしょう。動物でも距離が近くて大きく写っている時に、たまに気まぐれで作動することも有ります。
一度、人物像を彫っている人を撮影したところ、人物像を認識して、彫刻師の方は認識しませんでした!
まあソレは、彫刻の出来が素晴らしかった…ということにしておきましょうか…。
E-M1マーク3のソレが、かなり良くなったという話しですが、コチラは旧世代のソレです!
<AFターゲットパッドは勝手にOFFになる>
AFターゲットパッドとは、ファインダーを覗いた時、モニタースクリーン上を親指で操作することで、AF測距枠の位置を移動させるものですが、ソレが時々勝手にOFFになっています。
デフォルトでは、コレは OFFになっており、使用したい人は、メニューでONにします。
MENU → ⚙カスタムメニュー → A2 → AFターゲットパッド ON/ OFF
コレをONにすることで使用できるのですが、暫く使用していると、メニューでONになっているのに使えない…という事が起こります。
<AFターゲットパッドが使えない時の対策法>
ファインダーを覗いて、AFターゲットパッドで測距枠の位置を移動しようとしたら、ファインダー右上にOFFのロゴが表示されて動かない…こんな経験ありませんか?
そういう時は、ファインダーを覗きながらモニターをコツコツ叩く…コレで復帰します。
こんなのマニュアルにも出ていませんでした。
2020年10月17日加筆
このAFターゲットパッドが勝手にオフになる件は、一日に何度も体験するレベルです。いざ動かそうという時に限ってオフになっていて、極めて腹立たしいです。
オマケにコレも夏場の汗をかく季節には非常に反応も悪いですし、操作性という面でも全くダメでした。
<AFについてのまとめ>
全面AFは話にならない、シングルAFもピンと抜けが激しい、タッチシャッターはズレた位置にピントを合わせる上に、タイムラグの面からも使い物にならない。
結局AFに関しては、全く使い物にならないという結論に達しました!
ココに「オリンパスOM-707マーク2」の称号を授けます!
手ブレ補正について
手ぶれ補正は2秒まで何とか手持ちで行けるのは凄いですし、日常的な夜間スナップは、殆ど三脚いらずでこなす事ができます。
同時に1/30~1/125辺りで微ブレの発生が非常に多く、トータルでE-M10mk2よりもブレやすいという印象です。
2020年10月17日加筆
パナソニック100-300mmF4-5.6使用時のみ、時々「プーーーーー」という異音がして、手ブレ補正が全く効かなくなります。
同様の音は、オリンパスE-M10が壊れる寸前に発しており、手ブレ補正ユニットの作動時に発生するモノですが、本機の場合、本当にたまになので、余計に厄介です。
手ブレ補正のお陰で、レリーズボタンを半押しにした状態では、ファインダー像が安定しますが、この音が発生する時は、半押し前の様に小刻みに揺れます。
こういう場合、カメラメーカー、レンズメーカーがお互いに責任をなすりつける事になるので厄介です。
フラッシュについて
フラッシュは、防塵防滴構造では無理ということで内蔵されず、外付けの小型フラッシュが同封されています。
バッテリーはカメラ本体側のモノ使用し、一般的な内蔵フラッシュよりもガイドナンバー9.1(ISO100)と大きく(E-M10マーク2は5.8)、上下左右にバウンス可能なのも非常に便利です。
欲を言えば、同じ構造で、もう少しガイドナンバーの大きなモノのオプション設定が有ると有り難いところです。
<付属のフラッシュで接触不良>
付属のフラッシュは、アクセサリーシューの結合が甘いらしく、カチッと取り付けてから、揺すってやらないと使えません。コレは品質レベルを疑いたくなるレベルです。
コレは頻繁に使っている時は問題なくても、暫く使わなかった時は、まずマトモに作動しません。
Pモードの制御に問題有り!
Pモードは少しでも明るくなると、手ブレの心配のあるシャッタースピードにも関わらず、どんどん絞り込んで行きます。コレはオリンパスに共通する悪癖です。
Pモードというものは、本来失敗を少なくすることが最優先項目です。暗い所で一番多い失敗といえば、レンズを開放で使うことによる画質低下よりも、先ずは手ブレです。
故に、手ブレの心配の無い辺りまでは、絞りは開放のままに保持し、少しでもシャッタースピードと稼ぐのが賢い制御だと思うのですが、コレはオリンパスの悪癖で、一向に改良されませんね!
更に明るい所でもガンガン絞り込みを優先していくのも良くないですね!
作例はPモードで、パナライカ25mmF1.4を使用し、ISO400 1/10秒 F2.8となっています。
この様な手ブレの心配のある明るさにも関わらず、F2.8まで絞り込まれています。
絞りというものは、ある程度絞った方が画質は向上しますが、逆に絞り過ぎると、今度は画質が低下します。
特にマイクロフォーサーズの場合、F8以上に絞ると画質が低下するので、F8以上は今度は絞り込みを抑えて、シャッタースピードを上げる様に制御すべきだと思います。
以上のことから、オリンパスのPモードは余り使い物になりませんね!
Aモードは、例えば「絞り開放」のポジションが有れば、レンズ交換によって絞りを設定し直す手間が省けることでしょう。
カメラメーカの癖に、露出制御ひとつ取っても、まだまだですね!
電子ビューファインダー、モニター関連
<電子ビューファインダー>
電子ビューファインダーは液晶OLED式となり、先代よりも若干倍率が落ちた(1.48倍→1.37倍)ものの、アイポイントが約27mmと長くなったことから、従来よりもアイピースから目を離しても無理なく視野全体を見渡すことが出来る様になりました。
どれ位凄いか…というと、古い話ですが、ニコンF3ハイアイポイントよりもアイポイントが長いのです。
コレは、ゴーグルやサングラス着用時に有り難いことです。
購入時に、販売店にて隣りにあったE-M1マーク2と散々見比べたものですが、コチラの方が色調が自然だと思いました。
<モニター解像度は問題なし!>
今回、モニターの解像度が据え置きであったことに対する批判を耳にしますが、ソレに対して批判する気はありません。必要にして十分です!
あとは、モニターの表面に指紋が付きにくいのも良いですね。私は結構タッチスクリーンを使う方なのですが、一日中使っても、キレイなままです。 逆に保護フィルムを使った方が、表面の汚れが気になりました。
ですが、一つ批判するとしたら、何故モニター周辺のマスクが黒なのでしょうか?
コレは他社もそうなのですが、画面の下の方というのは、薄暗くなることが多いので、特に屋外だと、黒いマスクと画面との境目が判らず、結局中途半端な位置で切れた写真になってしまいます。
他社も皆そうですが、モニターの周辺は白に出来ないものでしょうか?
<誤作動の多いタッチパネル>
タッチパネルも非常に誤作動が多く、首からかけて歩いている時に勝手にシャッターが切れていたり、勝手に設定が変わっていたりして大変に煩わしいですね。
前述したAFターゲットパッドが動かなくなるのも、恐らくコレが原因だと思います。
<バリアングルモニターは使い難い>
今回、購入時に一つ妥協したのが、このバリアングルモニターでした。
光軸からズレているので、特に望遠で動態を追うのは結構難しいですね。開閉操作にひと手間余分にかかる上に、展開時に嵩張るのもイマイチ。
タッチシャッターでも使い難いですね。
縦横対応のティルトの方が使い易いと思います。
本来、ビデオ撮影に便利な筈のバリアングルですが、モニターを開くと、外付けマイクと干渉しやすいのは拙いですね。
2020年10月17日加筆
外付けマイク端子のカバーが緩くて時々外れる。10万超える機種でコレは恥ずかしいでしょう…。
最後に
本来この機種は、2018年に登場する予定だったものが、工場のベトナムへの移転等で予定がずれ込み、2019年11月に発売されたモノです。なので、最新モデルというには、既に出た当時から旧態化していることは覚悟しておくべきでしょう。
E-M1マーク3が3ヶ月後に発売されたからと言って、同等の性能が期待できるとは思わない方が良いでしょう。
この動物にピントが合わないのが、私の個体だけなのかどうかは分かりませんが、仮に全てそうだとしたら、酷いですね!
発売時期といい、製品の出来といい、全ての面でオリンパスの都合が最優先されたモデルです。今この完成度を見ると、この値段を払って買う様な機種では無いと思いますし、私も人には全く勧めていません。
今回のモデルチェンジは、E-M5系、E-M1系、PL系と全てマイナーチェンジでお茶を濁した!なんて言われています。
しかし、E-M5マーク3に関しては、新規のボディを採用したり、新規開発の手ぶれ補正ユニットを始めとして、この小さなボディにE-M1マーク2の内部をそのまま収めるのも不可能でしょうし、それを考えれば、それなりに金は掛かっているのでしょうが、ソレが一般に見えてこない、そして店頭で手に取った時点で周りのどれよりも安っぽく、しかもE-M1マーク2よりも高価…コレでは仮に素晴らしい性能だとしても、売るのは難しいでしょう。
何れにしても、この欠陥レベルのAFが改善されない限り、コレが私の最後のオリンパス機になることだけは決定です!
2020年10月17日加筆
現在私は海外に滞在しており、このCOVID19パンデミックの状況下、自由に帰国できない状況に置かれています。
この余りに酷い欠陥品を修理に出そうにも、日本で購入した物は日本でしか保証修理ができないという事です。普通の状況ならソレも仕方ないのかも知れませんが、こうやって帰国もままならない様な特殊な状況下に於いても、まるでお役所の様な対応・・・アップル製品のサービスの質の素晴らしさをフルに体験している私としては、コレこそが日本の凋落の象徴の様な気がしてなりません。
これだけ多くの人が世界中を移動する今日、こんな時代に逆に鎖国政策を取っているのが今の日本の製造業です。
旅行に便利なマイクロフォーサーズも、万一の旅行先のトラブルに対応出来ない様じゃ価値半減です!
キヤノンにしても、かつては各県にあったサービズ窓口も今は殆ど残っていません。
デジタル製品だからこそ、今まで以上に顧客サービズが必要なのに、ソレを切り捨ててしまった日本の製造業…海外にライバルが居ないからと、やはり少し思い上がっていませんか?
2020年10月17日加筆
既にオリンパスが映像部門譲渡を発表していますが、売却でなくて譲渡ということは、結局買い手がなかったという事です。
この程度の製品しか作れないのだとしたら、ソレは当然でしょう。
これだけ他社がガンガン新型を投入している中、オリンパスといえば、3年前のE-M1マーク2の劣化版の当機、マイナーチェンジ版のE-M1マーク3、残り部品をかき集めて作ったE-M10マーク4、レンズは12-45mmと、シグマのOEM100−400mmだけです。
コレで数年間戦えるとは考えられませんし、やはり段階的に撤退と考えるのが妥当なのでしょう。