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New FD
– ニューFDマウント…レンズの外側のみが回転します。

キヤノンFDマウントは、私が写真を初めた80年代初頭、最も完成度が高く、それ故にA-1が世界に先駆けてマルチモードAEを採用することが可能で、それどころか、あの超多機能のT90まで、完全な互換性が保たれていたんですから、その先見性には、改めて驚かされます。

さて、このFDレンズというのは、現在のバヨネットマウントとは異なり、レンズのマウント部にある締め付けリングを回す「スピゴットマウント」と呼ばれるものでした。

バヨネットマウントというのは、レンズの着脱時にレンズ全体が回転するのですが、スピゴットマウントの場合、レンズ本体は回転せず、締付けリングのみが回転するので、一眼レフの初期、自動絞りの様なレンズとボディーの連携を行う上で、やり易いと考えられたのです。

このスピゴットマウントというのは、一眼レフの初期に見られたもので、ペトリ、ズノーと言ったメーカーも採用していましたが、その両方とも、既に消え去っています。

キヤノンは一眼レフの初期に躓き、一眼レフではイマイチなイメージが付きまとったものでしたが、71年にF-1と共にFDレンズを発売し、一気に挽回に回りました。

Canon FD mount
– 旧FDマウント…銀色の締付けリングが外観上のポイントです。

この時点でボディー側から絞りをコントロールするシステムを完成させており、ソレが、後のマルチモードの礎になるのですが、やはりレンズ交換がイマイチやり難い…というのも、また事実だったのです。

片手でボディーを持ち、片手でレンズを持ち、締付けリングを操作するには、腕がもう一本必用…なんて言われたものでした。

しかし実際には、レンズをボディーに押し付けると、軽く締め付けリングが回転して、それで外れない位まで止まってくれるので、実際には腕3本は要らないのですが・・・。

それでも、締付けリングというのは、やはり普通のバヨネットマウントよりも力が要るのは確かで、強く締めすぎて外れない…なんてことも、実際に有ったのです。

プロのユーザーが増えるにつれ、この辺りに改良を望む声が上がったのです。

その声に応えるべく登場したのがニューFDレンズですが、コレは言ってみれば、レンズ本体が締め付けリングになっていて、絞りに関連する部分だけが回転しない、言わば二重構造になっているのです。

コレによって、普通のバヨネットマウントに引けを取らない操作性を身に着けたのですが…やはり、ソレと同時に構造も複雑化しており、後のEFマウントの採用は、AF云々よりも、寧ろこの複雑な構造を捨て去りたかった、そして、電子マウントとすることで、社外品を排除したい…というのが本音だったのです。

まあ社外品の排除に関しては、後にレンズメーカーにOEM生産を要請した関係で、仕様を公開していますが…。

実際にあの時に旧式の連動方式を捨て去ったことで、今だにEFマウントが高い互換性を誇っていることから、アレがベストのタイミングだったと思います。

反面、その複雑な構造の割に、何本も持っていたFDレンズでトラブルを経験したことは無いので、高い品質で生産されていたのでしょう。

しかし、キヤノンがニューFD化したのに、レンズメーカーは、皆旧型のスピゴットマウントのままでした。
今から考えれば、ニューFD方式にするには、鏡胴から全て設計が違ってくるので、採用できなかった訳ですが、中学生の私にはソレが理解できず、レンズメーカーに何時ニューFD方式が発売されるのか、問い合わせたことがあります。

その時の回答として、ニューFD方式は、特許で固められていて採用出来ないという事でした。
こんな独自の方式で特許取って、何かメリットでも有ったのでしょうか?

そんな中で、皆レンズメーカーは締め付けリング式で通したのですが、一番頑張ったのがシグマで、締付けリング式ながら、ロックボタンを持っており、他のメーカーよりも操作性が上でした。