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待望のWowカメラ、OM-1登場
昨年内に発表されると言われていながら、一向に情報が出てこなかった「Wowと言わせるカメラ」が2月15日、正式に発表されました。

カメラというものは、開発段階から多くのプロやYouTuberといった人たちの手に渡り、色々テストを行うことから、少なからず噂が漏れてくるものなのですが、今回は非常にガードが固かった様で、全くその手の情報が出てこなかったので、その存在すら懐疑的に思われていて、炎上商法で商売をするメーカーという陰口すら叩かれていました。

6年ぶりの新型センサー
E-M1マーク2以来実に6年ぶりの新型センサーの搭載が話題になりました。

新開発の有効画素数約2037万画素 裏面照射積層型 Live MOS センサーは、従来よりも高感度で2段、ダイナミックレンジはハイライト側に0.5段、シャドー側に0.5段のトータル1段の改善という話しです。

因みに高感度2段と言えば、フルサイズと同等ということになります。

驚異的な被写体認識AF?
その他にもAFの改善が著しく、業界最高レベルの被写体認識機能を有していることを大々的に打ち出してきました。


確かにこの動画を見ると凄いです。コレは買うしか無い…と思って多くの人が予約注文した様ですが、チョット冷静になってもう少し情報が出てくるのを待ちました。

確かにものすごいスピードで的確に被写体を認識していますが・・・ここで注意しないといけないのは、コレはあくまでも「被写体認識」であって、それがレンズを駆動してシャッターを駆動して写真となるまでの結果では無いということです。

シーンも、明らかに障害物が無い芝生で、背景が遠く一定のパターンという、ある意味カメラにとって都合の良いものになっています。

何枚か撮影された静止画が表示されていますが、一体何十枚の中の一枚なのかは分かりません。特に従来のオリンパスは、背景抜けが異常に多かったのですが、どの程度改善しているのか…?

AFは旧型と大差無し?
ココを見ると、AFは従来と余り変化がないというレビューも既に出てきています。

https://ascii.jp/elem/000/004/084/4084617/

ダイナミックレンジも変化無し?
そしてダイナミックレンジに関しても、E-M1マーク3とほぼ同じというレビューも出ています。

https://digicame-info.com/2022/03/om-systemom-1-3.html

マイクロフォーサーズである以上…
仮に高感度やダイナミックレンジがフルサイズ並になったとしても・・・やはりマイクロフォーサーズはマイクロフォーサーズ。例えば背景のボケなんかは依然としてフルサイズ並という訳には行きません。

そしてフルサイズと決定的に違うのは、質感描写です。マイクロフォーサーズは確かに以前と比較にならない位に高感度の描写も向上しましたが、やはり鳥や動物なんかを撮影すると、毛並みがゴワゴワした感じに写るのです。そしてボケの少なさは、平面的な描写になるのですが、この辺りはセンサーサイズから如何ともし難いものです。

この辺りを考えると、マイクロフォーサーズである以上、幾ら数値に表れる部分が飛躍的に性能が向上したからと言って、この様な数値に出ない部分がどの程度改善したのかは、実は余り期待できないのかも知れません。

会社としての先行きは?
そしてOMDSの企業としての先行きが不透明なことも相変わらずです。
かつてマイクロフォーサーズの登場によって先行きが不透明とされた旧フォーサーズも、E-5の登場によって多くのファンを狂喜させたものの、結局それが最後で撤退となりました。

90年代に登場したOM-3Tiもそうでした。折からのクラシックカメラブームで価格が暴騰した80年代のOM-3でしたが、それを復活させた上に外装をチタン化したものでした。復刻とは言っても、当時のオリンパスには既にメカニカルシャッターの技術は失われており、部品業者も同じこと。故に中古を購入して解析して復活させたのです。それだけエネルギーを注いだものの、結局ソレ以降の展開はなく、OMシリーズも撤退となりました。

何もオリンパスだけではありません。キヤノンにしても、時代がAF一辺倒となっていく中で敢えてT90を出して、MF健在と印象付けましたが、翌年にはEOSが登場して結局それだけでした。

ソニーもEマウントが活性化する中で、放置状態となっていたAマウントのα99iiを投入してファンを狂喜させましたが、結局ソレが最後で、既にAマウントは撤退となっています。

この様な過去の事例を考え併せても、長年の放置の後、ようやく待望の新機種が出た所で、これで安心…とはならないモノなのです。

相変わらず望遠レンズが不足
相変わらず超望遠に強いと自画自賛しておきながら、結局手頃なレンズは75-300mmという暗いレンズだけです。100−400はシグマのOEMの割には非常に高価で、フルサイズ用がベースとなっている為、マイクロフォーサーズ用としては無駄に重くて大きい上に、シンクロ手ブレ補正が使えないという、かなり残念なレンズです。

300mmf4も非常に高価ですし、やはり手頃と言えるレンズが無いのが辛い所です。

耐久性は?
あとは個人的な体験ですが、今まで使ったオリンパス機は、どれも決定的に耐久性に欠けているのです。だいたい私は3〜4年をライフスパンと考えていますが、その期間内を故障なしに通した機種は今の所皆無です。

E-M10は2年で手ブレ補正ユニットから異音が出て、直後に死亡しました。

E-M10マーク2は、チルト式モニターのフレキ基盤が逝かれました。これはebayで社外の部品が売られている位なので、その頻度の高さを窺い知ることができます。

E-M5マーク3は、修理後の保証が切れる前に故障…を繰り返し、トータル4台の機体を手にしましたが、防塵防滴なんて言う割に、根本的な耐久性に欠けているとしか思えません。

防塵防滴も結構、雪や水の中にカメラを漬ける様な画像が出回っていますが、そんな事の前に、基本的な耐久性は大丈夫なのか?その辺りはもう少し待たないと分かりません。

結論
今まで出ている情報が本当なら、これは非常に画期的なことです。
私もフルサイズに移行するのに比べれば、遥かに低予算で大きな結果を期待できる可能性を秘めています。

ところが、従来のオリンパスの誇大広告に騙され続けたこと、アッサリとシステムを投げ捨てる永続性の無さ… この辺りを考えると、残念ながら予約してまで買おうという気には、現時点ではなれません。

色々と批判的な事を書きましたが、もう少し情報が出て、私の書いたことが否定されることを望みます。

追記:高感度2段はハイレゾのみ! 
高感度に関しては、DPPeviewにもデータが追加されました。

https://www.dpreview.com/articles/1570844542/om-system-om-1-studio-tests-published

記事にもメーカーの示した2段分の改善は見られないと言われています。

コレを見た限りでは、E-M1マーク3よりも少し良くなったという程度ですね。キヤノンやニコンのフルサイズ低画素機に比べると、やはり2段とは言わないまでも、1.5段程度の差は見て取れます。

2段の改善が見られるのは、ハイレゾショットのみ…このオリンパスが必死で推してるハイレゾですけど、これこそ絵に描いた餅で、動態には使えない、改善されたとは言え、最新のOM-1ですら1コマの処理に5秒かかるというのでは、実際に高感度が必要な状況では全く意味をなさないのです。

高感度が一番求められるのが、光線状態の悪い所での動体撮影なんですから!

まあ、このテストが全てだとは思いませんけれど、今の段階では、予約しなくて良かった…、結局はオリンパスの誇大広告だったか…という印象を受けています。