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私が初めてカメラを購入したのが、兵庫県の某田舎町にあったOカメラ店でした。
1981年…今から36年も前の話しです。当時はまだこの近辺に量販店も無く、通信販売も一般的とは言えず、この地域の人は、当時2店舗有ったこの店で、皆買い求めたものでした。
家族経営の小さな店故に、店の人は皆顔見知りで、カメラに対する質問、DPE、レンズ、アクセサリー類の購入、その他にもカセットテープの購入等、何かと親身になって貰ったものでした。
当時は女性の8割は、フィルムの出し入れを自分でやらないと言われた時代ですが、そういう人たちも、皆この店にお願いしていたのです。
購入じゃなくても、暇な時に雑談を交えて色々な事を教えて貰ったものでした。
私にとって写真の基礎知識を学んだのは、この店だったと言っても過言ではありません。
80年代の半ば頃だったでしょうか?
この地域にも、カメラのキタムラの様な量販店が進出し、今まで見たことも無い様な品揃え、そして価格に驚かされたものでした。
丁度時を同じくして、ココの店も60分プリントを始め、多くの「地元のカメラ店」と同じように、DPEに主軸を置く様になっていき、それと同時に、私の足も遠のく様になったのです。
今日何となくその地域のGoogleストリートビューで検索してみたら・・・当然と言うか・・・既に閉店しており、テナント募集の看板が掛けられていました。
かつてカメラというものは、一台売れば、ソレに付随してフィルム、DPEといった新たなビジネスが付随してくる商品だったのですが、ソレが大きく変わったのがデジタル化でした。
一枚のメモリーカードで無限に撮影出来、写真の鑑賞はPCで、この手の店の頼みの綱であったDPEの需要まで激減したのです。
キタムラの進出で影響を受けた地元のカメラ店がDPEに転身し、そして一旦は勝ち組となったキタムラですが、結局は地元のカメラ店からパイを奪っただけで、そのパイ自体の縮小は如何ともしがたく、現在キタムラさえも縮小傾向にあります。
昔のカメラは、今のように簡単なものではありませんでした。露出の意味、露出補正、被写界深度、DPEの知識等、色々な事をこの店で教えていただいたものです。
大して金も持っていない無知な中高生を、よく根気よく相手にしてくれたと、改めて思います。
既にその土地を離れて30年、その間、多くの変化が有った様ですが、そんな中で一番印象に残っているのが、このOカメラであっただけに、残念な話しです。
やはりデジタル化というものは、ほんの一部が儲かり、大部分はおこぼれすら貰えない…そんな時代なのかも知れません。
現在、Yahoo知恵袋なんかを見ると、ビックリする様な無知な質問が並んでいますが、要するに、そういう事を教えてくれる様なカメラ店が無くなってしまった結果なのでしょう。