キヤノンF-1用データバック・・・・・70年代初期のものです。
デジカメになって死語になったものの一つに、データバックが挙げられます。時計機能が内蔵されていて、時計さえ合わせておけば、写真の撮影時間が記録される為、敢えて画像に「日付を写し込む」必要が無くなったからなのです。
フィルムの時代は、そんな便利な機能は無く、写真の画面に日付等、必要なデータを写し込むのが一般的で、それを行うのが「データバック」でした。
その機能は、裏蓋に内蔵されていたのですが、初期の頃は、大変に大柄な物でした。
上の写真は、70年代の名機、キヤノン旧F-1用のものですが、初期のものは、こんな大げさなシステムでした。
カメラ本体よりも大きな電卓(当時からキヤノンは電卓も作っていました)の様なキーボードと裏蓋を、太いケーブルでつないでいますが、初期のF-1は、無人撮影等の特殊撮影に主眼を置いたシステム展開をしていたので、コレも、その一環と言えるでしょう。
後に年、月、日の3ダイヤル式のものが発売されますが、コチラは手持ち撮影でも十分に使えるものでした。
そして70年代後半になると、コンパクトカメラでも、データバックを装備するものが増えてきました。記念写真をメインとするコンパクトカメラの方が、より需要が大きかったのです。
80年代に入ると、一眼レフでもアクセサリーとして用意される様になりました。そして同時に、単に日付写し込みだけで無く、時計機能と連動させることで、一定時間毎にシャッターを切る、インターバル機能を内蔵する物もありましたが、一般的に普及していた・・・・とは言いがたいところでした。
86年に登場したキヤノンT90では、コマンドバックの使用で、MSXのパソコンに接続して、
撮影データを読み取ることができましたが・・・・MSX自体が早々と絶滅してしまいました。
90年代に入ると、コンパクトカメラでは、当たり前に装備される様になりましたが、同時に、”Happy Birthday!"等、簡単なメッセージを写し込む事も可能になりました。
そして一眼レフ用としては、写真の画面内では無く、フィルムのコマ間に必要なデータを書き込む「コマ間写し込み式」データバックや、パソコンと連動させて、撮影データを記録するものも、一部の高級機向けにありました。作品に写し込むこと無く、データ管理が出来るという意味で、有能なものでしたが、それでも余り普及していたとは言えません。
デジカメになると、日付も時間も当たり前の様にファイルに記録されるので、非常にデータ管理が楽になりましたが、フィルム時代は、ソレが非常に困難なものでした。それ故に、現在程、データに気を遣わなかったのも、また事実ですが・・・・。
特に私の場合など、年、季節程度しか分からないのですが、デジタルになるまでは、その様な事は殆ど気にしなかったですね・・・・。